井戸掘り三人組登場!(中山 雅茂編)

スタジオにお越しいただいたのは、中山氏のほかに、北海道教育大学釧路校理科教育実践分野3年の吹田陽氏と浜井一真氏。「私たちは現在、中山先生とともに大学裏の旧陸上競技場に井戸を掘るため、地下の温度を測り、水があるのかどうか探すという活動を行っています。」 まずは、その経緯と仕組みについて。井戸を掘る目的は災害時に水道が止まったとしても水をくむことができること。 教育大は避難所に指定されていることもあり、水が大切となるから・・・。 そして、その水の見つけ方とは・・・。地面は外の温度変化に伴い、夏は暑く、冬は冷たくなります。しかし、地下水の温度は外の温度の影響を受けません。そのため、地下の温度を測った時に、グラフ上でほぼ直線の部分に水があるのでは無ないかと仮定することができるということなのです。 2024年の7月から3月まで、28ポイント(現在は20ポイント)で計測したところ、1つだけ温度がほぼ一定である部分を発見したそう。そのため、そのポイント付近に地下水が存在するのではないかとおっしゃっていました。 実は、7月から3月まで計測を行ってきたのですが、28ポイントのうち現在20ポイントになってしまった理由としては、おそらくシカの仕業ではないかと・・。温度計のケーブルを引きちぎられたり、抜かれてしまったりしたのです。おそらくシカだと想像できるのですが、その対策として、温度計にペットボトルをかぶせて固定すること。これを行って以降は、ちぎられたり、抜かれたりする被害がなくなったそうです。 「今後…

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モトスマリモ??(尾山 洋一編)

「一年くらい前に全国ニュースで何度も放送されたので、名前を聞いたことがある人もいると思うのですが、モトスマリモを研究する国立科学博物館の辻彰洋先生がつい最近、マリモ研究室を訪ねてくれたんです。そこでモトスマリモについて色々と話を聞くことができたので紹介したいと思います。」とスタート。 まず、マリモですが、日本にいるマリモの仲間は、私たちがよく知っているマリモ、そしてタテヤママリモの2種類。タテヤママリモの<タテヤマ>は富山県の立山町から来ていて、民家の池で育っていたそう。当時は阿寒湖のマリモと同じだと思われていたそうですが、後に遺伝子の分析で別種であることが分かり、タテヤママリモという和名がつけられたそう。 モトスマリモのはじまりは、山梨県の民家で淡水魚を飼育した水槽にマリモに似た藻が大量に発生したこと。辻先生が分析し、マリモやタテヤママリモとは種のレベルで遺伝的に違い、日本新産であることが判明。モトスマリモの<モトス>は山梨県の本栖湖から来ていると。民家では、水槽で飼っていた淡水魚の産卵用に本栖湖産の二枚貝を一緒に入れていた二枚貝に付着していたと考え、2022年に<モトスマリモ>と命名されたそうです。「日本ではマリモは2種類と考えられていたのですが、モトスマリモが加わったことで3種類に増えたのです。」 モトスマリモはマリモと同じく丸くなり、2~3cmと小さいそう。さらに非常に緩く、金魚用の小さいエアレーション程度の力で浮いてしまうくらいだそう。生態は阿寒湖のマリモと全く逆で、モトスマリ…

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about Käthe Schmidt Kollwitz

釧路市立美術館の沼前学芸員に気になる作家、展覧会について伺いました。 その作家とは、ケーテ・シュミット・コルヴィッツ。ドイツの女性版画家、彫刻家である彼女は、周囲にいた貧しい人々の生活や労働を描き、また、母として・女性としての苦闘を数多くの作品に残したそうです。 1867年生まれの彼女は、当初油彩を習っていたそうですが、ある版画家の影響を受け、油彩をやめ版画に専念することに。その後結婚してから、ベルリンの労働者街に住み、貧しい人々への共感から社会主義者としての活動を始めたそうです。作品の中にも色濃く表現されています。 貧困農民や労働者の絶望や抗議を主題とした<農民戦争>等はこの時期の版画作品。表現主義的な荒削りで力強いスタイルで制作されています。 その後彫刻もはじめ、やがて版画スタジオを運営するようにもなったのです。 しかし、1933年ナチスの台頭以後はアカデミーからの退会を余儀なくされ、スタジオも取り上げられます。彼女は第1次大戦で息子を、第2次大戦で孫を失ったそうです。母として平和主義者として生涯を通じて、虐げられた人々や弱い人間たちへの共感に満ちた作品を作り続けた人だそうです。 「第一次世界大戦で息子を亡くしたことが、彼女の作品にも大きな影を残しています。そのことをきっかけに喪に服すというテーマを生涯探求し続けたのですから。」 エリート階級の美術界とは距離を置き、貧しい人々を治療する医師であった夫と暮らした彼女。その診療所からも多くのモチーフを見いだしたとも言われているそう…

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