大小様々プランクトンサイズの世界(伊佐田 智規編)

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プランクトンの大きさ・・大きい方から。
メガプランクトン:20cm以上、クラゲなど
マクロプランクトン:2~20cm、小さいクラゲ、オキアミ類やヤムシ類など
メソプランクトン:0.2~20mm、ミジンコ、小さめカイアシ類やヤムシ類など
マイクロプランクトン:0.02~0.2mm(20~200 µm)、髪の毛の太さ
ナノプランクトン:0.002~ 0.02mm(2~20 µm)
ピコプランクトン:0.0002~0.002mm(0.2~2 µm)
フェトムプランクトン:0.00002~0.0002mm(0.02~ 0.2 µm)バクテリア、ウイルス
mmのミリは1000分の1のこと。
植物プランクトンは、主にマイクロ、ナノ、ピコサイズの3つに含まれるそう。鎖のように繋がった群体の珪藻類、藍藻類(シアノバクテリア)の一部はメソサイズに含まれる。マイクロサイズは、珪藻類、渦鞭毛藻類。ナノサイズは、円石藻類、ハプト藻類、ペラゴ藻類、クリプト藻類。ピコサイズは、緑藻類、シアノバクテリア。
「物凄く小さいシアノバクテリア、35億年前から現在の海にまでいる植物プランクトン。この大きさが魚のサンマくらいだと仮定。そのサイズから始めると、ナノサイズの円石藻類はシャチやイルカくらい、道東赤潮の原因になったマイクロサイズの渦鞭毛藻類はコーチャンフォーの建物くらい、珪藻類の中でも大型や、鎖のように繋がった群体の珪藻類、藍藻類だと別寒辺牛湿原くらいの大きさになります。」植物プランクトンの体の大きさはとてもバライティーに富んでいます。さらに種類も様々。このサイズの違いは、植物プランクトンが様々な環境で生き抜くための生存戦略に関わっているそうです。栄養塩がたくさんある沿岸域では、大きいマイクロサイズ、すなわち珪藻類、渦鞭毛藻類がたくさん。一方で、熱帯域や亜熱帯域などの南の沖合の栄養塩の少ない海域では、小さいピコサイズのシアノバクテリアがたくさんいて、大型の珪藻類はあまりいないと。これは、体の体積と表面積が密接に関わっているそうです。
小さい植物プランクトンは体積が小さい割に、表面積は大きいので、海水に接する面積が広い、すなわち効率良く栄養塩を体の中に取り込めると言うことになるのです。だから、栄養塩が少ない海域では小さい植物プランクトンが有利でたくさん生息しているということ。植物プランクトンすごいですよね。
栄養塩が少ない外洋域では小さいサイズの植物プランクトンから食物網が始まります。それを食べる動物プランクトンのサイズも小さく、これを食べる魚類も小さいので、生態ピラミッドの頂点の例えばマグロに到達するまでに多くの栄養段階を踏まなければいけません。およそ6~7段階。一方、栄養塩が豊富な沿岸域は大きな珪藻類がたくさんいるので、それを食べる動物プランクトンも大きく、ニシンや低層だとタラ、そしてサケやサメなど高次生物へ至るまで3~4段階くらい。
「食う食われる被食捕食の回数が少なく済むので、専門用語でエネルギー転送効率が高いのです。このエネルギー転送効率が近年の気候変動や海洋環境の変化で大きく変わってきていて、親潮域でも暖かい水が入ってきて栄養塩環境が変わり、サンマなど魚類までへの栄養段階が多くなって効率が下がってきていることも指摘されています。ですから、植物プランクトンのサイズはその海域のエネルギー転送効率を決定すると言っても過言ではないのです。」
※写真・資料は伊佐田智規氏にお借りしたものです。
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