about Käthe Schmidt Kollwitz
釧路市立美術館の沼前学芸員に気になる作家、展覧会について伺いました。
その作家とは、ケーテ・シュミット・コルヴィッツ。ドイツの女性版画家、彫刻家である彼女は、周囲にいた貧しい人々の生活や労働を描き、また、母として・女性としての苦闘を数多くの作品に残したそうです。
1867年生まれの彼女は、当初油彩を習っていたそうですが、ある版画家の影響を受け、油彩をやめ版画に専念することに。その後結婚してから、ベルリンの労働者街に住み、貧しい人々への共感から社会主義者としての活動を始めたそうです。作品の中にも色濃く表現されています。
貧困農民や労働者の絶望や抗議を主題とした<農民戦争>等はこの時期の版画作品。表現主義的な荒削りで力強いスタイルで制作されています。
その後彫刻もはじめ、やがて版画スタジオを運営するようにもなったのです。
しかし、1933年ナチスの台頭以後はアカデミーからの退会を余儀なくされ、スタジオも取り上げられます。彼女は第1次大戦で息子を、第2次大戦で孫を失ったそうです。母として平和主義者として生涯を通じて、虐げられた人々や弱い人間たちへの共感に満ちた作品を作り続けた人だそうです。
「第一次世界大戦で息子を亡くしたことが、彼女の作品にも大きな影を残しています。そのことをきっかけに喪に服すというテーマを生涯探求し続けたのですから。」
エリート階級の美術界とは距離を置き、貧しい人々を治療する医師であった夫と暮らした彼女。その診療所からも多くのモチーフを見いだしたとも言われているそう…