珪藻類のライフサイクル(伊佐田 智規編)

珪藻類は、分類学的には不等毛植物門とかオクロ植物門と呼ばれる大きなグループに含まれる微細な藻類。コンブもこのグループに含まれるので、珪藻もコンブも大きい括りでは同じ仲間になるそう。珪藻類は沿岸から外洋、北極・南極の様な極地から暖かい熱帯域、淡水、光が届く浅いところの海底、強酸性から強アルカリの環境など、ありとあらゆる場所に生息しているそうです。水中に浮かんで生活する浮遊性の珪藻だけでなく、水分は必要としますが樹皮や川岸にある石の上、コケの上、アイスアルジーと呼ばれる海氷、コンブやアマモなどの葉の表面、クジラ表面などに生育する付着性の珪藻類もたくさん生息してているとおっしゃっていました。水環境の光合成生物として極めて重要な地位を占めていて、地球上の光合成量のおよそ20〜25%を担っていると言われているとか・・。 珪藻類の最大の特徴はガラス(珪酸質)でできた2枚の殻(被殻)で細胞が覆われていること。このガラスの殻の模様や構造がとても多様、かつ極めて精細な構造となっているのです。殻の形は様々ですが、大きく2つに分けられるそう。一つ目は放射状に模様が広がる<中心類>、もう一つは模様がある中心線に沿って左右対象に見える<羽状類>。道東近くを例にすると親潮域や沿岸親潮域など少し岸から離れた海域では中心類が多く、厚岸湖の様なアマモやカキ・アサリ養殖がされている浅い海域では羽状類が多いそう。いずれにしても、多くの餌資源になっているのが珪藻類なのです。 次にどの様に珪藻類が増えていくのか?「中心類、羽状類と…

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久々の乗船(満澤 巨彦編)

久しぶりにJAMSTECの調査船<新青丸>に乗船なさった満澤氏。南海トラフに設置されている地震や津波などの観測機器の整備が目的の航海だったそうです。水深4500mまで潜ることができる無人探査機による海底に設置してある機器<ハイパードルフィン>の整備が目的です。 「私の乗船は8日ほどだったのですが、2年ぶり、さらに春先の天候の変化が激しかったこともあり、最初の2~3日ぐらいは船酔いで辛い中、船上でいろいろな作業をすることになりました。何回乗っても間が空くと最初は船酔いの克服からです。<新青丸>は約1600t、海洋調査船としては中型の船なのですが、それなりに良く揺れます。」満澤氏の船酔いの克服法は、酔い止め薬は飲まず、ひたすら耐えるというやりかた。横になるとなかなか慣れないので、横になるのはできるだけ我慢して座ったり動いたりして過ごす。この時が一番つらく、最初の日は、ほとんど食事もとれずお酒も飲まず、風呂も入らずに、夜まで我慢して起きていて早めに就寝。すると翌日は少し良くなり、軽く食事ができるようになり、徐々に回復して3日目ぐらいには食事も普通にとれるようになるそう。だいたいこのパータンで船酔いを克服しているとおっしゃっていました。 さて、今回は調査研究というより<ハイパードルフィン>を使った海底の作業が主で、海底で作業するためにその道具立てを準備するのが船上での仕事。<ハイパードルフィン>のTVカメラで見ながらマニピュレーターと呼ばれる遠隔操作用のマジックハンドで、水中重量が100kg程度の…

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2025.0418O.A 「考古学に足を踏み入れたのは・・・」

小田島賢さん(厚岸町海事記念館 学芸員) 大学に入るまで考古学というものがよくわからず、高校生時代は世界史に興味があり、特に西洋と東洋との人の往来があるトルコ史に強く惹かれていたと小田島氏。 「今、思い返すと、人とのつながりや人間の営みというものが特に興味があったので、考古学を今専門分野にしているのはある意味自然な流れなのかもしれません。」 大学2年になる頃、友人から考古学研究会サークルに誘われ、夏に倶知安町で遺跡の発掘調査があることを知り、参加。発掘調査は、大学の先生や先輩、同級生と1週間宿に寝泊まりで行うもので、半ば修学旅行のような気持ちで行かれたそうですが、結果的にこの発掘調査で考古学に興味をもつこととなったそうです。 大学を卒業後、別の大学院へ進学してから、より考古学の深さに気づくことになったとおっしゃっていました。「本来は、分布論という手法で遺跡から出土した遺物の広がりを知ることで、当時の社会構造が理解できるだろうと考えていたので、それで修士論文を書きたいと思っていましたが、大学院の先生から私は基礎的な土器の研究が出来ていないということから、そのとき院で掘っていた続縄文時代の遺跡の土器と向き合うこととなるのです。」その遺跡と隣の遺跡の土器が修士論文の題材になったそう。「土器のかけらひとつひとつを観察して図面におこすことで、当時の人にとって規範となるイメージの土器があったものの、それぞれの土器には微妙な違いがあり、その背後にある土器を作った人たちが垣間見ることができます。」 …

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